【地震予測は可能?】観測データの読み方

大学・研究2026.06.274 min read

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地震のニュースを見ると、次はいつ来るのか知りたくなる。不安。ただ、地震予測という言葉は良く見るものの、根拠に乏しい。科学でできることと、まだ難しいことを分けないと、不安だけが増える。

日本地震学会や気象庁の公式解釈において、現代の科学技術では地震の「日時・場所・規模」の3要素をピンポイントで特定する「確知的な予知」は不可能であると結論づけられている。科学的な地震研究の主流は、予知ではなく「発生確率の提示」や「被害想定の算出」といった確率論的なリスク評価(地震動予測)へと移っている。

評価と予知は別の話

地震については、発生確率や震源域の評価はある。一方で、何月何日何時に起きると断定する予知は難しい。だから、予測情報を探すより、揺れた時の行動を整える方が生活には効く。

災害心理学やリスク認知の研究では、科学的根拠のない根拠不明な予知情報に依存する心理傾向が指摘されている。しかし、短期的・確定的な「予知」に期待する姿勢は、かえって家具固定や備蓄といった現実的で効果的な「予防的行動(事前対策)」を遅らせてしまう原因になることが分かっている。

調査研究推進本部が出す長期評価

文部科学省の地震調査研究推進本部は、主要活断層や海溝型地震の長期評価を公開している。ここで示されるのは、将来の発生可能性や規模の評価だ。個別の日付を当てる情報ではなく、地域のリスクを読むための資料になる。

長期評価は、過去数百〜数千年の地震履歴や断層の変位量などの地質学・古地震学的データに基づき、「今後30年以内に〇%」といった発生確率を算出する手法をとる。これは気象予報の「雨量予測」に近い統計学的アプローチであり、地域全体の長期的な防災インフラ整備や建築基準の設計指標として活用されている。

確率より、「揺れやすさ」

公式機関が発表する「30年以内に70%」といった数字を見ると、私たちはつい『あと数年は大丈夫だろう』と油断するか、逆に『もう終わりだ』と過剰に恐れてしまいがちだ。しかし、この確率は「明日起きる確率」も内包している。数字の大きさに一喜一憂する時間は、実はあまり意味を持たない。

一歩進んだデータ活用としておすすめしたいのが、国が公開している防災マップや「J-SHIS(地震ハザードステーション)」で、自分が住む場所の『表層地盤の揺れやすさ』をピンポイントで確認することだ。同じ市区町村であっても、川の近くの平地か、削り出された丘陵地かによって、実際の揺れの増幅率は大きく異なる。

広域のざっくりとした「発生確率」を追うのをやめて、自分の足元の「地盤のリスク」という確定的な情報に目を向ける。これによって、取るべき対策(家具の補強レベルや避難ルートの選定)がガラリと変わり、漠然とした不安が「具体的なタスク」へと変わっていく。

J-SHIS等で算出される「表層地盤増幅率」は、地表から深さ約30mまでの地質構造(軟弱地盤か堅固な岩盤か)をもとに、地震波がどれだけ増幅されるかを数値化した科学的データである。数値が1.8や2.0を超えると揺れが大きくなりやすいことが実証されており、個人の住宅補強計画や家具固定の優先順位を決める客観的指標として極めて有用だ。

データを読むと、不安の形は変わる

地震データは怖さを増やすためではなく、備えを具体化するために見る。自宅の地域、通勤路、家族の集合場所、家具の固定。大きな数字を眺めるより、自分の生活に接続した時に意味が出る。

「地震予測」と検索したくなる時ほど、公式機関の評価に戻りたい。SNSの断定的な投稿は目立つが、目立つことと正しいことは違う。分からないことを分からないまま扱うのも、科学の大事な強さだと思う。

過去の大震災における負傷原因の分析データによると、屋内での負傷者の多くは「家具の転倒・落下・移動」によるものであることが実証されている。不確実な予測を追う時間よりも、居住空間の安全対策にリソースを充てることの方が、生命保護や避難行動の観点から合理的かつ効果的とされる。

まとめ

地震は、日付を当てるより地域のリスクを理解する方が現実的だ。長期評価やハザード情報を見て、自分の生活で困る場面を減らしたい。

不安な時ほど、強い言葉に引っ張られやすい。公式データを読み、家具を固定し、連絡手段を決める。地味な準備の方が、予測を探し続けるよりずっと役に立つ。

災害対策の本質は、発生を予測して回避することではなく、発生した際の「被害を最小化する(減災)」ことにある。科学的に証明された地盤データやハザードマップを正しく読み解き、個人の生活環境に即した具体的で実効性のある防災行動へと落とし込んでいく姿勢が求められる。

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